2010年07月13日
世界市場でシェアを維持拡大するための戦略を。
今朝は、『世界一のシェアを持つ日本企業』というテーマで、大前研一さんの講演を聴取しました。
講演の紹介文は次の通りです。
アジアなどの新興国企業が台頭するなか、日本企業で世界で高シェアを維持し、競争力を保っている企業をとりあげ、なぜ競争力を維持できているのか?今後も維持できるのか?など、日本企業が世界で勝ち残るための方向性について事例を交えて検討します。
講演の要旨は以下の通りです。
・アジアの追い上げなどにより、日本の産業は、世界的な存在感が低下してきているが、産業別・企業別に見ると、世界シェアの高い企業が多い。
・日本の製造業は、最終製品よりも、部品・素材などの上流の分野での競争力が高い。
最終製品では、先端分野もしくは、ローテク(手作業)分野の世界シェアが高い。
部品・素材分野では、液晶パネル部材のほか、LED,太陽電池、リチウムイオン電池、医療機器など成長分野でも、部材を中心に日本企業の強みが発揮されている。
・現在、世界シェアが高い企業でも、アジア企業の技術キャッチアップ、ローエンド製品普及による価格低下、代替え技術の登場、国際規格・標準化により、シェアを落とすリスクがあり、対策を講じる必要がある。
かつての半導体は、90年代の政府のミスリードと、技術者の流出がシェア低下に拍車をかけた。
その他、日本発の多くのハイテク製品・部材が時間とともに、世界シェアを低下させている。
技術のブラックボックス化、事業の軸足のシフト、業界・政府を巻き込んだ規格作りなどの対策が需要。
・自社の強みを生かせるニッチな世界市場をみつけ、顧客に徹底的に対応することが、日本企業が世界で戦うためのカギとなる。
日本が得意とする、アナログ技術を生かすことが重要
中小企業でも、ニッチ市場で十分に世界でトップシェアを狙うことができる。
大企業も、分野をフォーカスした市場で戦うことが重要。
日本企業が生み出した製品や技術の変遷をたどると、大前さんが繰り返し日本、日本企業を『みつぐ君』と表現されていたとおり、例えば半導体、半導体製造装置産業は、日米半導体協定などで決まった日本からアメリカへの輸出枠を守らざるを得ないことをきっかけにシェアが低下し、日本から技術者やノウハウが流出した韓国企業などの台頭によってさらに世界シェアを落とすこととなりました。
それだけではなく日本では、農業、林業などを含め国が関与した産業は軒並み競争力を失い衰退してきました。
日本政府には外交と同様に、日本の企業が世界市場でシェアを維持拡大するための戦略がありませんでした。そして今後もあてになりません。
イタリアのニット産業を地域自治体が要塞のように守っているという事例があがっていましたが、日本でも(手遅れに近い状況ですが)それぞれの地域自治体が、それぞれの地域の中で活躍している世界に通用する企業、産業が競争力を維持し伸ばすために、ばらまきではない手法で、企業活動を阻害する規制を撤廃したり、あるいは海外へ重要な情報やノウハウが流出しないよう規制を設けるなど、官民が連携しながら成長戦略に沿った産業振興に取り組む、そして国はそうした地域の取り組みを支援する必要があると考えます。
以下は講演メモです。
<参議院選挙に関して>
民意であるというが、選挙は民意が反映されないもの。
かつて中曽根政権時、トリプル選挙を進めた。トリプルだと投票率が上がる、普段投票に来てない人(=隠れ自民党)が投票することになる。306議席を獲得。
死に票 民主党に投票した人が一番多いのは民主党だったが、死に票が多かった。
小沢さんが2人候補をだした。うまくいくかは時の運。
選挙は、いかに投票した人のムダを出さないかがカギ。戦術。
票割りを適正に調整する。公認をきびしく調整する。
参議院は全部比例にするなどすべき。
菅さんは、いわなくていいことをいっている。
財務大臣をやったときに財政規律がいかに大切かということがいやと言うほど分かったはず。財政規律がしっかりしていないとアービトラージで投機家に売り浴びされる。
自分の国の国債を自分の国の国民が買っている国は日本くらいだけ。国民に見放されたときが日本が終わるとき。菅総理大臣は理解していない。10カ国8カ国20カ国どこへいっても同じことを言われて彼は頭に来て消費税増税を言ってしまった。
消費税増税については、自民党もいいことを言い始めた、選挙が終わったら私もじっくり話したい。と言っておけば良かった。
選挙は、にこにこしてこういうことをやろうと言うもの。うかった後にきびしいことを言うべき。うかった後にしっかりやってもらわないと困る。
菅総理大臣 強い財政、強い経済、強い社会福祉。同時に3つともやると言っている。どれか1つを選ばないといけない。それが常識。経営の世界でも価格を上げて、コストを下げて、売上げを伸ばす、なんてありえない。一度に3つは無理。この3つが成り立たないから世界のすべての国が苦労している。財政規律と関係ないところで景気刺激はしなければならない。規制撤廃しかない。
民の見えざる手。冷え込んだ心理で貯金が市場に出てこない日本。そのために日本は景気が悪い。政治家は心理経済を学ぶ必要がある。官と政の見えざる巨大な手では無理。成功した事例がない。
徹底してムダをなくす。例えば、公務員カット。参議院をなくす。
渡辺喜美 正論を言い続けて勝った。聞いてて一番ぶれてない。『自治労を抱えておいて公務員改革はできない。』『野党の時に社会保険庁を廃止しろといっていたのは長妻さんでしょ。その長妻さんが厚生労働大臣になったとたんに名前だけ変えたようなものを持ってきた。これじゃあ財政の規律なんかできない。』『民主党と一緒にやらない。亀井が推し進める郵政法案をおす民主党なんかと一緒にできるか。』
かつては小泉さんが言っていた。
巨大組織はどのように動いているのか。
恥も外聞もない選挙に勝つために
小沢さんは自分の責任と思ってない。
向こう3年間は選挙を気にしなくていい。あかんなあと思いながら私は民主党に政策提言をしてやらせていきたい。
こういう政府の元では国債の暴落のシナリオが進む。会社、個人の資産を守る対策を打つ必要がある。
奇跡的に回復することはありえない。
<今日のテーマ>
「世界一のシェアを持つ日本企業」は意外に多い。
歴史を見ると悲しいことがわかる。
日米貿易交渉、日米貿易戦争。 アメリカにたたかれて日本が自粛し業界を縛る。アメリカの鉄工業などが復活するのではなく、ヨーロッパの鉄工業が復活。アメリカの鉄工業は一社も残っていない。
日米繊維交渉 成立したが、コスト競争力がなく、日本から拠点を韓国→台湾→インドネシア、いまは中国へ。アメリカの繊維業は回復せず。
テレビ戦争 アメリカのテレビ産業は1社も残ってない。アメリカ最後のテレビ会社「ゼニス」はメキシコへ行き、LGが買収するものの倒産。
日米半導体交渉 半導体は日本の独壇場だった。アメリカは民生用の半導体は作っていなかった。アメリカは作っていなかったので20%枠を守るために、韓国企業に日本企業は技術を提供して帳尻を合わせていた。日本は韓国企業に技術を全部教えちゃった。
日本企業 世界のトップシェアを取りながら、アメリカにたたかれ、おかしな妥協を強いられ、その結果、シェアを失ってきた。政府が日本の優秀な企業産業をつぶしてきた。
政府の言うことを聞いて強くなった、成長した企業は世界中にない。
過度の要求をする大企業 要求された部品産業などが、出入り業者が、素材から研究し、5年後に結果を出し続けてきた。
今でも成長している。
過度の要求をする大企業はひっくり返っている。ダメになっている。
日本の歴史 世界が繁栄するためにこれだけ貢献した国はない。現在の台湾企業の成長を支えたのも日本。
日米貿易戦争
いいものを持っている企業、産業を、政府が本来守るべきだった。アメリカに何を言われようと守ろうという気概が日本政府になかった。
部品 素材の分野はマーケットが小さいのが課題。
日本の製造業の国際的な地位 10%にまで低下。
産業の着実な衰退を達成している。
日米貿易交渉 はいはいと言いながら、妥協すべきではなかった。業界は通産省を前面に押し出してやってしまった。
みつぐ君に徹した日本
液晶ディスプレイ日本シェア57% マーケット規模2.1兆円 マーケットとしては小さい。
電子部品 日本のシェア40% マーケット規模15兆円
電子機器 日本のシェア23%に低落した市場規模は90兆円。マーケット大きい。
大きな市場の分野で日本は世界シェアをゆずってしまい、パイオニア、JVC,ケンウッドなどは立て直すすべがないほどに弱体化。
高い市場規模をもつ分野で日本企業はシェアが小さくなっている。
東京 全日空ホテルの前にサムソン、巨大なビルがある。日本から買い付けをする。韓国の最大の買い付け商社はサムソン。難しいことは日本が全部やってくれる。
日本ガイシ 蓄電技術 スマートグリッド シェア100%
デジタルは誰がやっても同じものが出てくる。
日本はアナログ部分がある分野で強い。
複写機 コピー機は「紙送りの部分」が難しい。湿度0%から100%まで対応できる。マイナス20度でも耐久力がある。課題は季候。経験値が必要。
もともとはゼロックスの発明だが。
韓国国内は韓国製の複写機。
一眼レフ アナログ技術が必要 レンズを磨くなど。
カシオ シチズン セイコー 電波時計が動くように、発信基地を世界に寄贈中。
ワイヤーハーネス→ヤザキ
エアバック→タカタ
世界シェアが高い企業に大企業はごく一部の例外を除き、非常に少ない。
液晶パネルの部材で日本企業のシェアは高い。偏光板など。
ガラス基盤 コーニング(外国)が強いが、それ以外は日本勢が強い。
ハードディスク 部材で日本勢が強い。
リチウムイオン電池 極材
自動車 排ガス関係は強い。スパークプラグ タイヤ
LEDで60%以上のシェア マーケットは何兆円になると言われている。
韓国、シーメンスがと
白熱灯でシーメンス、東芝、フィリップス、GEは100年カルテルを続けた。一定時間使用するとフィラメントが切れるようにつくっていた。ナイロンストッキングと同じ。
太陽電池最終製品 日本勢が圧倒的なシェアを持っていたが、中国勢、韓国が強くなった。日本勢は部材屋に。
リチウム電池 ウォーレンバフェット「最も重要な産業の部材になる」自動車、スマートグリッド
全体の市場規模3.1兆円(推計) 自動車向けリチウムイオン電池の市場規模2.3兆円(推計)
古い車のタイヤとハンドルだけを残して エンジンをリチウム電池に替えれば走る。
リチウムイオン電池 圧倒的に日本企業のシェアは高い。
第1幕はいつも日本勢が圧倒的に優勢。
サムソン DYD(中国) LGが投資を加速中。
中国は国策でリチウムイオン電池の普及に力を入れている。充電スタンドインフラをつくっている。
1台につき補助金80万円
エンジン自動車でアメリカは世界のリーダーに。中国は電気自動車で世界のリーダーに。という国策。
リチウムイオン電池 10年前、サンヨーと松下で世界シェア52%。今は28%に半減。
リチウムイオン電池 部材は日本勢が多数を占める。誰でも作れるようになった。
サムソンは垂直統合モデルではないので、リチウムイオン電池も1からはつくれない。
医療機器 圧倒的に欧米が強い。
ニッチなところで日本企業が残っている。
日本企業が強い領域
導入期 日本企業はうまく立ち回る。
成長期 量産、コストダウン 日本企業は△。新興国に生産拠点が移る。
成熟期 差別化 ニッチで深掘りをする日本の中小企業が儲かる。
衰退期
モジュールでデジタル→台湾勢が強い。調整がいらない分野。テレビでも調整が不要
デジタルは日本から産業が逃げていくもの。
カーナビは日本以外では作りようがない。ドイツの車のナビはパナソニック
韓国企業は明日できないものはつくらない。日本企業は何年も何年もかかることをこつこつやる。
福山の伝統工芸 白鳳堂 世界シェア60% 衰退した毛筆から化粧品に。 エスティーローダーなども採用。
一本ずつ目でチェックしている。
日本企業 ニッチ戦略で強みを発揮している。
医療機器 内視鏡
全自動編み機
高級ヘルメット ショウエイ
マニー どんな分野でもいいから世界トップシェアを取ろう、という企業。医療機器の分野 眼科用のナイフ 針
上場しない カネが必要なら銀行がいくらでも貸してくれる。
やらないこと。徹底してやること。
世界をリードするユーザー、トップアスリートなどへうまく売り込むことができるとシェアをかせげる。
シマノ自転車部品 世界シェア80% 自転車の世界最大シェアは台湾のジャイアントだが、シマノのギアがついていないと売れない。
日本電子と日立 電子顕微鏡 ここしか作っていないとなると、値段をたたかれることも少ない。
ヒロセ電機 コネクターの会社 ノキア、シスコなど世界トップの企業(ユーザー)に売り込み、シェア2位の企業も使ってくれると世界トップシェアをとれる。値段も維持されやすい。
新興国 成長分野がたくさんあるので経営者が目移りする。一つの分野に特化しにくい環境。日本でもシッピングカンパニーにすぎなかった岩崎弥太郎が横に拡がるのと同様の傾向が強い。
今後、想定されるリスク
・新興国に抜かれる。
・まったく違う技術が生まれて衰退する。自動車エンジン 排気触媒→電気自動車
・世界で制度が変わって衰退する。企画段階でシェアを取らなければダメ。
半導体 日米半導体協定 見かけ上アメリカは何の影響も受けていない。アメリカが作っていた半導体は、軍事用とマイク
ロプロセッサー。日本のような民生用ではなかった。米国で被害を受けていたはマイクロン、モトローラのみ。
モトローラ ガルビンが半導体戦争をもちかけた。
マイクロン アメリカ オレゴン州 ポテトチップスをつくっていた会社が半導体に手をだした。政治的に強くて議員をつかい、日本はまんまとだまされた。
リチウムイオン電池、DVD、カーナビなど、日本が生み出して(シェア100%)15年で外国勢にシェアを奪われた。日本死体博物館といえる。
カーナビ 世界では20万円もかけるところはなく、ガーミンの3万円、今では携帯電話の無料サービスで代用できる。
中に入っているものはゼンリンの地図情報。
水ビジネス 日本の企業は部材特にフィルター部分で競争力は高い。水ビジネス全体の大きな市場では、欧州政府が規格標準化等を推進し、欧州企業が高いシェアをとる。
水ビジネスはオペレートしてなんぼの世界。ベオリア フランスが強い。その他GEなど日本では市役所がオペレーションをしているので、民間企業がオペレーションのノウハウを持っていない。
原発、鉄道でもオペレーションまでパッケージで発注が出ている。日本企業はいいものを持っているが官公需がになう分野では容易に海外に進出できない。
世界トップシェアを握る企業から学ぶ点
・コアスキルを磨いて小さなマーケットを守る。
・アナログ技術には中国韓国台湾勢は進出しないのでがんばる。
・フォーカスする部分を特定する。
・とにかく世界市場へ出て行く。市場が10倍はある。
・情報流出のリスク ベテラン社員を中国韓国台湾企業に抜かれるケースが多い。
・代替技術の台頭にそなえて必ず地平線を見ておく。
・ヨーロッパ勢を中心に標準化をしてしまうことに注意。テレビは標準化に敗れた。
・ここ20から30年間を振り返ると、一生懸命自社の技術を磨き続けていたが、世界が見えていなかった。大局観がない。戦略的に考えない。そのために政府にすがって失敗。
アメリカは貿易戦争で勝ってもその後、アメリカの産業が立ち直ったことはない。姿鏡を米国に見せてやるべきだが、今後日本が守るべき分野はほとんど残っていない。官・菅総理大臣がしゃしゃり出たら終わり。
政治に頼らず自立する。
シェアにおける日本とアメリカとの差は?
A:分野が違う。
アメリカは民生部門は弱い。航空宇宙、医療など付加価値の高い分野が強い。その他、半導体の製造装置、検査装置など。経営者が選択し、守っている。
半導体の製造装置、検査装置は日本の怠慢だった。
ドイツ 大型機械 石油掘削などは強い。付加価値の非常に高い産業を押さえている。メディカルではGEが強い。
テレビなどは中国に任せておけ、という感覚。
日本で最終製品をもっと作れるのでは?
A:人材供給の点で日本は最終製品の製造に不向き。
ホンハイ・フォックスコン 10年で社員が0人から60万人に。
日本は圧倒的に人材が不足している。日本ではせいぜい500〜600人程度。量産品は全自動化すればいいが難しい。
日本 オタク商品に強い。しかし、ノキア・サムソンは、ドコモのアプリケーション(便利な電車の予約など)だけを研究し、アイデアをもらってアメリカや欧州で、一周遅れで、2週間遅れで日本勢より先に売ってしまう。世界の人々はまだ日本で使われ
ているようなサービスを求めておらず、20ドルの携帯をつくれ、という段階。そのために順序を決めて、日本発のアプリケーションを日本勢より先にアメリカや欧州で後出しする。
日本はアイデアラボ。みつぐ君 ご苦労様。
かつては日本の人口規模でそのまま世界へ進出できていたが、日本の規模感が一変してしまい、韓国や台湾中国の力を借りなければできない。
日本の地域自治体にはこれらシェアの高い企業、産業<地域のお宝>を守るしくみがない。国もそれを助ける。
イタリアのニット産業 地域自治体が要塞のように守っているが、日本は、潰れるなら潰れなさいとほったらかし。
東大阪、東京大田区、諏訪、浜松、燕、など。空洞化が進む。
講演の紹介文は次の通りです。
アジアなどの新興国企業が台頭するなか、日本企業で世界で高シェアを維持し、競争力を保っている企業をとりあげ、なぜ競争力を維持できているのか?今後も維持できるのか?など、日本企業が世界で勝ち残るための方向性について事例を交えて検討します。
講演の要旨は以下の通りです。
・アジアの追い上げなどにより、日本の産業は、世界的な存在感が低下してきているが、産業別・企業別に見ると、世界シェアの高い企業が多い。
・日本の製造業は、最終製品よりも、部品・素材などの上流の分野での競争力が高い。
最終製品では、先端分野もしくは、ローテク(手作業)分野の世界シェアが高い。
部品・素材分野では、液晶パネル部材のほか、LED,太陽電池、リチウムイオン電池、医療機器など成長分野でも、部材を中心に日本企業の強みが発揮されている。
・現在、世界シェアが高い企業でも、アジア企業の技術キャッチアップ、ローエンド製品普及による価格低下、代替え技術の登場、国際規格・標準化により、シェアを落とすリスクがあり、対策を講じる必要がある。
かつての半導体は、90年代の政府のミスリードと、技術者の流出がシェア低下に拍車をかけた。
その他、日本発の多くのハイテク製品・部材が時間とともに、世界シェアを低下させている。
技術のブラックボックス化、事業の軸足のシフト、業界・政府を巻き込んだ規格作りなどの対策が需要。
・自社の強みを生かせるニッチな世界市場をみつけ、顧客に徹底的に対応することが、日本企業が世界で戦うためのカギとなる。
日本が得意とする、アナログ技術を生かすことが重要
中小企業でも、ニッチ市場で十分に世界でトップシェアを狙うことができる。
大企業も、分野をフォーカスした市場で戦うことが重要。
日本企業が生み出した製品や技術の変遷をたどると、大前さんが繰り返し日本、日本企業を『みつぐ君』と表現されていたとおり、例えば半導体、半導体製造装置産業は、日米半導体協定などで決まった日本からアメリカへの輸出枠を守らざるを得ないことをきっかけにシェアが低下し、日本から技術者やノウハウが流出した韓国企業などの台頭によってさらに世界シェアを落とすこととなりました。
それだけではなく日本では、農業、林業などを含め国が関与した産業は軒並み競争力を失い衰退してきました。
日本政府には外交と同様に、日本の企業が世界市場でシェアを維持拡大するための戦略がありませんでした。そして今後もあてになりません。
イタリアのニット産業を地域自治体が要塞のように守っているという事例があがっていましたが、日本でも(手遅れに近い状況ですが)それぞれの地域自治体が、それぞれの地域の中で活躍している世界に通用する企業、産業が競争力を維持し伸ばすために、ばらまきではない手法で、企業活動を阻害する規制を撤廃したり、あるいは海外へ重要な情報やノウハウが流出しないよう規制を設けるなど、官民が連携しながら成長戦略に沿った産業振興に取り組む、そして国はそうした地域の取り組みを支援する必要があると考えます。
以下は講演メモです。
<参議院選挙に関して>
民意であるというが、選挙は民意が反映されないもの。
かつて中曽根政権時、トリプル選挙を進めた。トリプルだと投票率が上がる、普段投票に来てない人(=隠れ自民党)が投票することになる。306議席を獲得。
死に票 民主党に投票した人が一番多いのは民主党だったが、死に票が多かった。
小沢さんが2人候補をだした。うまくいくかは時の運。
選挙は、いかに投票した人のムダを出さないかがカギ。戦術。
票割りを適正に調整する。公認をきびしく調整する。
参議院は全部比例にするなどすべき。
菅さんは、いわなくていいことをいっている。
財務大臣をやったときに財政規律がいかに大切かということがいやと言うほど分かったはず。財政規律がしっかりしていないとアービトラージで投機家に売り浴びされる。
自分の国の国債を自分の国の国民が買っている国は日本くらいだけ。国民に見放されたときが日本が終わるとき。菅総理大臣は理解していない。10カ国8カ国20カ国どこへいっても同じことを言われて彼は頭に来て消費税増税を言ってしまった。
消費税増税については、自民党もいいことを言い始めた、選挙が終わったら私もじっくり話したい。と言っておけば良かった。
選挙は、にこにこしてこういうことをやろうと言うもの。うかった後にきびしいことを言うべき。うかった後にしっかりやってもらわないと困る。
菅総理大臣 強い財政、強い経済、強い社会福祉。同時に3つともやると言っている。どれか1つを選ばないといけない。それが常識。経営の世界でも価格を上げて、コストを下げて、売上げを伸ばす、なんてありえない。一度に3つは無理。この3つが成り立たないから世界のすべての国が苦労している。財政規律と関係ないところで景気刺激はしなければならない。規制撤廃しかない。
民の見えざる手。冷え込んだ心理で貯金が市場に出てこない日本。そのために日本は景気が悪い。政治家は心理経済を学ぶ必要がある。官と政の見えざる巨大な手では無理。成功した事例がない。
徹底してムダをなくす。例えば、公務員カット。参議院をなくす。
渡辺喜美 正論を言い続けて勝った。聞いてて一番ぶれてない。『自治労を抱えておいて公務員改革はできない。』『野党の時に社会保険庁を廃止しろといっていたのは長妻さんでしょ。その長妻さんが厚生労働大臣になったとたんに名前だけ変えたようなものを持ってきた。これじゃあ財政の規律なんかできない。』『民主党と一緒にやらない。亀井が推し進める郵政法案をおす民主党なんかと一緒にできるか。』
かつては小泉さんが言っていた。
巨大組織はどのように動いているのか。
恥も外聞もない選挙に勝つために
小沢さんは自分の責任と思ってない。
向こう3年間は選挙を気にしなくていい。あかんなあと思いながら私は民主党に政策提言をしてやらせていきたい。
こういう政府の元では国債の暴落のシナリオが進む。会社、個人の資産を守る対策を打つ必要がある。
奇跡的に回復することはありえない。
<今日のテーマ>
「世界一のシェアを持つ日本企業」は意外に多い。
歴史を見ると悲しいことがわかる。
日米貿易交渉、日米貿易戦争。 アメリカにたたかれて日本が自粛し業界を縛る。アメリカの鉄工業などが復活するのではなく、ヨーロッパの鉄工業が復活。アメリカの鉄工業は一社も残っていない。
日米繊維交渉 成立したが、コスト競争力がなく、日本から拠点を韓国→台湾→インドネシア、いまは中国へ。アメリカの繊維業は回復せず。
テレビ戦争 アメリカのテレビ産業は1社も残ってない。アメリカ最後のテレビ会社「ゼニス」はメキシコへ行き、LGが買収するものの倒産。
日米半導体交渉 半導体は日本の独壇場だった。アメリカは民生用の半導体は作っていなかった。アメリカは作っていなかったので20%枠を守るために、韓国企業に日本企業は技術を提供して帳尻を合わせていた。日本は韓国企業に技術を全部教えちゃった。
日本企業 世界のトップシェアを取りながら、アメリカにたたかれ、おかしな妥協を強いられ、その結果、シェアを失ってきた。政府が日本の優秀な企業産業をつぶしてきた。
政府の言うことを聞いて強くなった、成長した企業は世界中にない。
過度の要求をする大企業 要求された部品産業などが、出入り業者が、素材から研究し、5年後に結果を出し続けてきた。
今でも成長している。
過度の要求をする大企業はひっくり返っている。ダメになっている。
日本の歴史 世界が繁栄するためにこれだけ貢献した国はない。現在の台湾企業の成長を支えたのも日本。
日米貿易戦争
いいものを持っている企業、産業を、政府が本来守るべきだった。アメリカに何を言われようと守ろうという気概が日本政府になかった。
部品 素材の分野はマーケットが小さいのが課題。
日本の製造業の国際的な地位 10%にまで低下。
産業の着実な衰退を達成している。
日米貿易交渉 はいはいと言いながら、妥協すべきではなかった。業界は通産省を前面に押し出してやってしまった。
みつぐ君に徹した日本
液晶ディスプレイ日本シェア57% マーケット規模2.1兆円 マーケットとしては小さい。
電子部品 日本のシェア40% マーケット規模15兆円
電子機器 日本のシェア23%に低落した市場規模は90兆円。マーケット大きい。
大きな市場の分野で日本は世界シェアをゆずってしまい、パイオニア、JVC,ケンウッドなどは立て直すすべがないほどに弱体化。
高い市場規模をもつ分野で日本企業はシェアが小さくなっている。
東京 全日空ホテルの前にサムソン、巨大なビルがある。日本から買い付けをする。韓国の最大の買い付け商社はサムソン。難しいことは日本が全部やってくれる。
日本ガイシ 蓄電技術 スマートグリッド シェア100%
デジタルは誰がやっても同じものが出てくる。
日本はアナログ部分がある分野で強い。
複写機 コピー機は「紙送りの部分」が難しい。湿度0%から100%まで対応できる。マイナス20度でも耐久力がある。課題は季候。経験値が必要。
もともとはゼロックスの発明だが。
韓国国内は韓国製の複写機。
一眼レフ アナログ技術が必要 レンズを磨くなど。
カシオ シチズン セイコー 電波時計が動くように、発信基地を世界に寄贈中。
ワイヤーハーネス→ヤザキ
エアバック→タカタ
世界シェアが高い企業に大企業はごく一部の例外を除き、非常に少ない。
液晶パネルの部材で日本企業のシェアは高い。偏光板など。
ガラス基盤 コーニング(外国)が強いが、それ以外は日本勢が強い。
ハードディスク 部材で日本勢が強い。
リチウムイオン電池 極材
自動車 排ガス関係は強い。スパークプラグ タイヤ
LEDで60%以上のシェア マーケットは何兆円になると言われている。
韓国、シーメンスがと
白熱灯でシーメンス、東芝、フィリップス、GEは100年カルテルを続けた。一定時間使用するとフィラメントが切れるようにつくっていた。ナイロンストッキングと同じ。
太陽電池最終製品 日本勢が圧倒的なシェアを持っていたが、中国勢、韓国が強くなった。日本勢は部材屋に。
リチウム電池 ウォーレンバフェット「最も重要な産業の部材になる」自動車、スマートグリッド
全体の市場規模3.1兆円(推計) 自動車向けリチウムイオン電池の市場規模2.3兆円(推計)
古い車のタイヤとハンドルだけを残して エンジンをリチウム電池に替えれば走る。
リチウムイオン電池 圧倒的に日本企業のシェアは高い。
第1幕はいつも日本勢が圧倒的に優勢。
サムソン DYD(中国) LGが投資を加速中。
中国は国策でリチウムイオン電池の普及に力を入れている。充電スタンドインフラをつくっている。
1台につき補助金80万円
エンジン自動車でアメリカは世界のリーダーに。中国は電気自動車で世界のリーダーに。という国策。
リチウムイオン電池 10年前、サンヨーと松下で世界シェア52%。今は28%に半減。
リチウムイオン電池 部材は日本勢が多数を占める。誰でも作れるようになった。
サムソンは垂直統合モデルではないので、リチウムイオン電池も1からはつくれない。
医療機器 圧倒的に欧米が強い。
ニッチなところで日本企業が残っている。
日本企業が強い領域
導入期 日本企業はうまく立ち回る。
成長期 量産、コストダウン 日本企業は△。新興国に生産拠点が移る。
成熟期 差別化 ニッチで深掘りをする日本の中小企業が儲かる。
衰退期
モジュールでデジタル→台湾勢が強い。調整がいらない分野。テレビでも調整が不要
デジタルは日本から産業が逃げていくもの。
カーナビは日本以外では作りようがない。ドイツの車のナビはパナソニック
韓国企業は明日できないものはつくらない。日本企業は何年も何年もかかることをこつこつやる。
福山の伝統工芸 白鳳堂 世界シェア60% 衰退した毛筆から化粧品に。 エスティーローダーなども採用。
一本ずつ目でチェックしている。
日本企業 ニッチ戦略で強みを発揮している。
医療機器 内視鏡
全自動編み機
高級ヘルメット ショウエイ
マニー どんな分野でもいいから世界トップシェアを取ろう、という企業。医療機器の分野 眼科用のナイフ 針
上場しない カネが必要なら銀行がいくらでも貸してくれる。
やらないこと。徹底してやること。
世界をリードするユーザー、トップアスリートなどへうまく売り込むことができるとシェアをかせげる。
シマノ自転車部品 世界シェア80% 自転車の世界最大シェアは台湾のジャイアントだが、シマノのギアがついていないと売れない。
日本電子と日立 電子顕微鏡 ここしか作っていないとなると、値段をたたかれることも少ない。
ヒロセ電機 コネクターの会社 ノキア、シスコなど世界トップの企業(ユーザー)に売り込み、シェア2位の企業も使ってくれると世界トップシェアをとれる。値段も維持されやすい。
新興国 成長分野がたくさんあるので経営者が目移りする。一つの分野に特化しにくい環境。日本でもシッピングカンパニーにすぎなかった岩崎弥太郎が横に拡がるのと同様の傾向が強い。
今後、想定されるリスク
・新興国に抜かれる。
・まったく違う技術が生まれて衰退する。自動車エンジン 排気触媒→電気自動車
・世界で制度が変わって衰退する。企画段階でシェアを取らなければダメ。
半導体 日米半導体協定 見かけ上アメリカは何の影響も受けていない。アメリカが作っていた半導体は、軍事用とマイク
ロプロセッサー。日本のような民生用ではなかった。米国で被害を受けていたはマイクロン、モトローラのみ。
モトローラ ガルビンが半導体戦争をもちかけた。
マイクロン アメリカ オレゴン州 ポテトチップスをつくっていた会社が半導体に手をだした。政治的に強くて議員をつかい、日本はまんまとだまされた。
リチウムイオン電池、DVD、カーナビなど、日本が生み出して(シェア100%)15年で外国勢にシェアを奪われた。日本死体博物館といえる。
カーナビ 世界では20万円もかけるところはなく、ガーミンの3万円、今では携帯電話の無料サービスで代用できる。
中に入っているものはゼンリンの地図情報。
水ビジネス 日本の企業は部材特にフィルター部分で競争力は高い。水ビジネス全体の大きな市場では、欧州政府が規格標準化等を推進し、欧州企業が高いシェアをとる。
水ビジネスはオペレートしてなんぼの世界。ベオリア フランスが強い。その他GEなど日本では市役所がオペレーションをしているので、民間企業がオペレーションのノウハウを持っていない。
原発、鉄道でもオペレーションまでパッケージで発注が出ている。日本企業はいいものを持っているが官公需がになう分野では容易に海外に進出できない。
世界トップシェアを握る企業から学ぶ点
・コアスキルを磨いて小さなマーケットを守る。
・アナログ技術には中国韓国台湾勢は進出しないのでがんばる。
・フォーカスする部分を特定する。
・とにかく世界市場へ出て行く。市場が10倍はある。
・情報流出のリスク ベテラン社員を中国韓国台湾企業に抜かれるケースが多い。
・代替技術の台頭にそなえて必ず地平線を見ておく。
・ヨーロッパ勢を中心に標準化をしてしまうことに注意。テレビは標準化に敗れた。
・ここ20から30年間を振り返ると、一生懸命自社の技術を磨き続けていたが、世界が見えていなかった。大局観がない。戦略的に考えない。そのために政府にすがって失敗。
アメリカは貿易戦争で勝ってもその後、アメリカの産業が立ち直ったことはない。姿鏡を米国に見せてやるべきだが、今後日本が守るべき分野はほとんど残っていない。官・菅総理大臣がしゃしゃり出たら終わり。
政治に頼らず自立する。
シェアにおける日本とアメリカとの差は?
A:分野が違う。
アメリカは民生部門は弱い。航空宇宙、医療など付加価値の高い分野が強い。その他、半導体の製造装置、検査装置など。経営者が選択し、守っている。
半導体の製造装置、検査装置は日本の怠慢だった。
ドイツ 大型機械 石油掘削などは強い。付加価値の非常に高い産業を押さえている。メディカルではGEが強い。
テレビなどは中国に任せておけ、という感覚。
日本で最終製品をもっと作れるのでは?
A:人材供給の点で日本は最終製品の製造に不向き。
ホンハイ・フォックスコン 10年で社員が0人から60万人に。
日本は圧倒的に人材が不足している。日本ではせいぜい500〜600人程度。量産品は全自動化すればいいが難しい。
日本 オタク商品に強い。しかし、ノキア・サムソンは、ドコモのアプリケーション(便利な電車の予約など)だけを研究し、アイデアをもらってアメリカや欧州で、一周遅れで、2週間遅れで日本勢より先に売ってしまう。世界の人々はまだ日本で使われ
ているようなサービスを求めておらず、20ドルの携帯をつくれ、という段階。そのために順序を決めて、日本発のアプリケーションを日本勢より先にアメリカや欧州で後出しする。
日本はアイデアラボ。みつぐ君 ご苦労様。
かつては日本の人口規模でそのまま世界へ進出できていたが、日本の規模感が一変してしまい、韓国や台湾中国の力を借りなければできない。
日本の地域自治体にはこれらシェアの高い企業、産業<地域のお宝>を守るしくみがない。国もそれを助ける。
イタリアのニット産業 地域自治体が要塞のように守っているが、日本は、潰れるなら潰れなさいとほったらかし。
東大阪、東京大田区、諏訪、浜松、燕、など。空洞化が進む。